インボイス制度が始まる前は、従業員を個人事業主に見せかけて脱税する会社があったという記事を見ました
従業員を個人事業主に見せかけて脱税する手法は定番としてかなり昔からあったと思います
インボイス制度が始まってからもそれが劇的に減少しているとは個人的には思えません
今でもこの脱税スキームは横行しているんですか?
まだまだ多いと思いますよ
逆に、インボイス制度が始まるので個人事業主に見せかけるのをやめようって言っている事業者を私は聞いたことはないです
具体的にはどういった脱税スキームなんですか?
従業員を個人事業主扱いにすることによって、その従業員に支払う給料を業務委託費や外注費などのような別の経費で処理します
給料として支払うのと、業務委託費や外注費で支払うのと違いがあるんですか?
従業員に対する給料には消費税はかかりません(非課税)が、外部の事業者に支払う業務委託費や外注費は消費税がかかります(課税)
そのため、同じ金額を給料として支払った場合にはその金額には消費税が含まれていないことになりますが、業務委託費や外注費として支払った場合にはその金額には消費税が含まれていることになります
そうすると、支払った会社側の消費税の確定申告上、業務委託費や外注費で支払った方が消費税の納税額が少なくなります
従業員に対する給料ではなく外部の個人事業主に対する業務委託費や外注費として支払うことで、会社は消費税を脱税することができるんですね
その通りです
さらに従業員として雇用する場合は、従業員を社会保険に加入させる義務があり、社会保険料の半分を会社が負担することになりますが、
外部の個人事業主扱いにすると、会社で社会保険に加入させる義務がなくなるため、会社にとっては社会保険料逃れも可能となります
消費税の脱税だけでなく、社会保険料の納付を逃れることができるんですね
でも結構シンプルな脱税スキームだと思いますけど、税務署などにバレないものなんですか?
もしその会社に税務調査が入れば、簡単にバレると思いますが、確定申告書を見ただけでは判別は難しいと思います
それで定番の脱税スキームとして横行してるんですね
建設業関係や営業重視の不動産会社、保険会社などで多いと思います
過去には歯科技工会社が従業員である歯科技工士を個人事業主として扱い、多額の消費税と社会保険料を免れていた事案もあったそうです
年間の売上が1000万円を超えなければ、個人事業主は消費税を申告・納税する義務がありませんが、
年間の売上が1000万円を超えるとその2年後から消費税の申告・納税する義務が発生します
歯科技工士は年間の売上が1000万円を超えるらしく、消費税の申告・納税義務が発生する前に廃業手続きを取って、一旦会社の従業員に戻し、別の従業員を個人事業主として開業させる…
ということをグルグル繰り返していたそうです
従業員が個人事業主になり、2年後にまた従業員に戻ってきて、また個人時事業主になって…
個人事業主の無限ループですか!
そうやって従業員をローテーションで個人事業主にしていたそうです
そこまでやるかって感じですね
脱税の金額も相当な額に及んだと思いますよ
結局この会社には国税庁が税務調査に入って、多額の追徴課税を支払ったようです
悪いことをすれば必ずバレるんですね
でも、個人事業主扱いにされる従業員の方は自分で国民年金や国民健康保険料を支払うんですよね?
従業員は会社にうまく利用されてかわいそうですね
確かに国民年金や国民健康保険料の負担は大きいかもしれませんが、
通常、個人事業主扱いの場合、出来高に応じてインセンティブが支払われて収入が増えることが多いです
従業員も収入が増えるのなら、お互いにメリットがあるんですね
会社としては、会社の売上や利益に貢献していない従業員を減給したり、解雇しやすくなるのでメリットが大きいです
従業員にとってはメリットばかりではなく、リスクも大きいですね
不動産会社や保険会社などでは、営業成績がいい人はかなりの年収をもらっている人も多いようです
一方で、ノルマを達成できないといずれ解雇になるというリスクが付いて回ります
個人事業主もハイリスク・ハイリターンですね
私は安定の正社員がいいです(笑
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